私たちの研究の最終目標は、ヒトや動物などの生体を親指ほどの小さなチップ上に再現してしまう「Body on a Chip(ボディー・オン・チップ)」を創り出すことです。

従来の生物学では、ヒトや動物などの個体からスタートし、そこから臓器→細胞→細胞内小器官→分子というように、より小さい構成物に対象が移っていく、所謂「トップダウン型」の研究が行われてきました。この方法によって、生命現象のメカニズムがかなり明らかとなってきましたが、まだ不明な点が多いことも事実です。

「トップダウン型」とは反対の研究アプローチを取る分野もあります。それが、組織工学や合成生物学と言われる研究分野です。自分たちで分子や遺伝子などを組み上げることによって、細胞や組織などを再現するという、謂わば「ボトムアップ型」の研究分野です。組み上げる過程の中で、新しく必要となる分子やプロセスなどが、これまでの「トップダウン型」生物学だけでは明らかに出来なかった発見へと繋がります。

私たちの研究グループはこの「ボトムアップ型」の研究アプローチをとり、より組織工学を発展させることによって、組織だけでなく生体システムを再現する研究を行っています。それが、「Body on a Chip(ボディー・オン・チップ)」です。これは、生命現象を明らかにするだけでなく、薬剤開発や再生医療にも貢献することができます。